はじめに、本年1月1日に発生した令和6年能登半島地震により、犠牲となられた方々に哀悼の誠を捧げますとともに、被災された方々に、心よりお見舞いを申し上げます。被災地の一日も早い復旧、復興をお祈りしております。
今回の震災では、家屋の倒壊や大規模火災、停電、断水など甚大な被害が発生するとともに、津波による被害、道路交通網の寸断、集落の孤立など厳しい状況が幾重にも重なり、さらに、厳しい冬の時期に発生したことで、避難所での生活環境はより一層、厳しさを増すこととなりました。
このような状況の中、本巣市といたしましては、岐阜県と連携し、1月15日から保健師などの市職員11名(※3月7日現在)を石川県輪島市や中能登町などへ派遣いたしておりますが、今後も被災地の一日も早い復興を願い、出来る限りの支援に取り組んでまいります。
それでは、令和6年第1回本巣市議会定例会の開会にあたり、新年度予算をはじめ、提出議案のご審議をお願い申し上げるに先立ちまして、新年度における施策の大綱と私の市政運営に関する所信を申し述べさせていただき、議員各位並びに市民の皆様のなお一層のご理解とご協力をお願い申し上げたいと存じます。
私は、本年2月11日に告示されました任期満了に伴う市長選挙におきまして、議員各位並びに多くの市民の皆様からご支援をいただき、無投票5選という大変身に余る結果を与えていただきました。議員各位並びに市民の皆様に、4期16年の市政運営に対し、評価をいただいたことに感謝申し上げますとともに、私に課せられたその使命と責任の重さを改めて痛感しているところでございます。
再度、市政を担うことになりましたことから、市民の皆様のご期待に沿えるよう、進行中の事業を初め、新たな課題にも自ら先頭に立ち汗をかき、市民の皆様の声をよく聞き、さらなる進化を目指して、引き続き「対話重視」「現場主義」「市民目線」を市政運営の基本姿勢に、次の4年間に重点的に取り組むとお約束した6つの基本政策に掲げた新たな事業に全力で取り組んでまいります。
まず、基本政策1つ目の取り組みは、「活力」「地域資源を活かして活力を創造するまち」にすることでございます。
開通を間近に控えた東海環状自動車道の(仮称)糸貫ICの立地条件を活かして、多様なニーズに対応できるオーダーメイド型の企業用地造成による企業誘致を推進し、地域経済の活性化と雇用の確保を図ってまいります。また、商工会と連携して、市内で利用できる「もとまる商品券」の継続発行や電子マネーの活用も視野に入れながら中小企業・小規模事業者の支援に取り組んでまいります。さらに、ふるさと納税制度を活用して返礼品の開発や改良に取り組む事業者を支援するなど、新たな特産品の開発にも取り組んでまいります。
本市には、日本三大桜のひとつであります淡墨桜をはじめ、豊かな自然や数々の観光資源があります。これらに加え、近隣市町と連携した広域観光にも取り組んでおり、こうした地域資源や連携による強みを生かした魅力ある観光事業の推進に努めてまいります。
また、高齢化による農業の担い手不足が心配される中において、人・農地プランに基づく地域農業の中心となる担い手や次世代を担う農業者の育成・確保に向けた取り組みにも支援してまいります。
次に、基本政策2つ目の取り組みは、「安心」「安心してみんなで子どもを育てられるまち」にすることでございます。
全国的に少子化が進んでおりますが、安心して地域で子育てができるよう、妊娠・出産から子育てまで、切れ目のないサポート体制を構築していきます。まずは、安心して妊娠・出産ができるよう健診や産後ケアなど母子に必要なサポートに取り組みます。さらに、幼児園や留守家庭教室など子育て支援事業の充実に加え、(仮称)こども誰でも通園制度を見据えた状況把握や子ども食堂、ヤングケアラー等への支援にも努めてまいります。
また、若者や子育て世代の経済的負担を軽減する「本巣市奨学金返還支援制度」を新たに創設するなど、子育てへの悩みや不安を解消し、子育て世代が安全・安心に子育てできる環境の整備に取り組んでまいります。
次に、基本政策3つ目の取り組みは、「福祉」「人にやさしく生きがいのある福祉のまち」にすることでございます。
高齢の方や障がいのある方々が、住み慣れた地域で安心して健やかに、いきいきと暮らせるよう、買物・通院等を支援するNPOなどへの支援や、地域見守りネットワーク制度への参加者の増員、民間事業者等との連携強化など、地域で支え合う仕組みを充実強化してまいります。
また、高齢者の社会参加機会と健康保持に向けてシルバー人材センターへの運営支援や軽スポーツ・生涯学習の充実と参加促進を図ることで、いつまでも元気で、自分らしく生きていける「健康寿命」を伸ばす取り組みを推進してまいります。
次に、基本政策4つ目の取り組みは、「安全」「心が通いあう、安全で安心して暮らせるまち」にすることでございます。
いつ起こるかわからない自然災害から、市民のかけがえのない生命や財産を災害から守るため、起こりうる災害と引き起こされる被害を常に想定し、過去に各地で発生した災害の教訓も踏まえ、絶えず災害対策の改善を図るとともに、事前の防災・減災対策や迅速な復旧・復興にも視点を置き、平時から災害に備えて、強く、しなやかな本巣市を実現してまいります。
また、市民の日常生活の安全・安心を確保するため、岐阜地域5市町による広域消防体制を維持するとともに、消防署再配置計画に基づく消防署の整備を推進してまいります。
さらに、交通事故から子どもたちを守るため、通学路の安全点検と整備を、引き続き推進してまいります。
また、本巣市の豊かな自然環境は市民共通の財産であり、その恵みを将来にわたり享受していくためにも、森林資源や自然景観の保全促進にも努めてまいります。
次に、基本政策5つ目の取り組みは、「快適」「住みやすく、利便性の高い快適なまち」にすることでございます。
幹線道路網や都市公園の整備、公共交通機関のネットワーク化などにより利便性を高め、住みやすく快適なまちにするため、開通を間近に控えた東海環状自動車道へのアクセス道路の整備を促進するとともに、パーキングエリア隣接地に整備した防災機能を持つ都市公園「もとまるパーク」を中心に、本巣市のにぎわいの拠点となるよう整備を進めてまいります。
また、市民の皆様からのご要望が多い集落間をつなぐ身近な生活道路や排水路、近隣市町を結ぶ幹線道路の整備も引き続き進めてまいります。
また、人口減少や高齢化が進み、地域ごとに特性も異なる中で、さまざまなニーズに対応していくためにも、わかりやすく、使いやすい公共交通のネットワーク化を進め、さらなる利便性の向上を図ってまいります。
次に、基本政策6つ目の取り組みは、「育成」「人材の育成や市民活動が活発な元気なまち」にすることでございます。
元気なまちには、人づくりが重要です。本巣市で生まれ、育ち、まちの未来を担う子どもへと成長していくためには、未来を切り拓き、たくましく生き抜く力を育むことが必要です。安全・安心な施設で快適な学校生活を送り、確かな学力を身に付けることができるよう教育環境の充実を図るとともに、ICTを活用した情報教育の推進にも取り組んでまいります。また、たくましく生き抜く力の基盤となるのは健康な体の育成です。「生きる力を育むプロジェクト」を推進し、幼児期からの体力向上にも引き続き取り組んでまいります。
さらに、本市の特色である、「数学のまちづくり事業」や「ウオーキング・ランニングのまちづくり事業」を通して、市民の学ぶ機会の充実と健康の保持・増進にも取り組んでまいります。
また、市民の皆様と一緒にまちづくりを進めていくため、地域づくり団体や市民協働サポートセンターとの協働による市民活動を推進してまいります。
以上、今後の市政の推進にあたり、重点的に進めていく政策を述べさせていただきましたが、こうした政策を実現していくために、私も含めまして、全職員が知恵を出し、汗をかき、市民の皆様と一緒になって、「元気で笑顔あふれる本巣市づくり」を、引き続き進めてまいりたいと考えておりますので、議員各位をはじめ、市民の皆様の温かいご支援とご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
それでは、令和6年度予算の編成にあたり、市政を取り巻く国内情勢などにつきましてご報告申し上げます。
まず、我が国の社会経済は、不安定な国際情勢や原油価格・物価の高騰など、長引くコロナ禍の中において経済活動が停滞し、生活に深刻な影響を及ぼしておりますが、昨年5月に新型コロナウイルス感染症の位置付けが「5類」に移行された以降、徐々に人流が戻り、個人消費とインバウンド需要が回復するなど、少しずつではありますがコロナ禍の3年間を乗り越え、改善しつつあると考えております。
内閣府の本年2月の月例経済報告で報告されていますように、「景気は、このところ足踏みも見られるが、緩やかに回復している」とされ、先行きにつきましては、「雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。」としております。
一方で、「物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要があり、さらに、令和6年能登半島地震の経済に与える影響に十分留意する必要がある。」ともされているとおり、いまだ先行きが見通せない状況が続いているのも事実です。
現在も続く物価高騰は、市民生活や経済活動に深刻な影響を与えており、加えて、いつ起こるとも限らない災害への対応などにも注力していく必要があり、引き続き国の動向も注視しながら、市民の皆様の安全をしっかりと守り、安心して市民生活がおくれるよう、その時々の状況を見極めながら、今後も必要な対策を講じていく必要があると考えております。
それでは、こうした社会経済情勢を踏まえた国の令和6年度予算編成および令和6年度地方財政対策に基づき編成いたしました新年度予算の概要につきまして、ご説明申し上げます。
まず、国の令和6年度地方財政対策によりますと、普通交付税の交付団体ベースによる「一般財源総額」は、社会保障関係費や人件費の増加が見込まれる中、地方団体が、住民のニーズに的確に応えつつ、こども・子育て政策の強化などさまざまな行政課題に対応し、行政サービスを安定的に提供できるよう、前年度比0.9%、5,545億円増の62兆7,180億円が確保され、前年度を上回る額を確保されたところでございます。
また、地方公共団体の重要な財源であります「地方交付税」につきましても、前年度比1.7%にあたる3,060億円増の18兆6,671億円となっており、交付税の振り替え財源である臨時財政対策債は前年度比54.3%、5,402億円減の4,544億円と地方財源が確保されている状況でございます。
地方財政は、今後も高齢化の進行による社会保障関係経費の増加や公共施設等の光熱費の高騰、自治体のサービス・施設管理などの経費の増加、また、多発する災害に備えるための防災・減災対策に要する経費などに加え、次元の異なる少子化対策への対応やデジタル社会の進展に伴う行政のデジタル化などの財政需要が見込まれ、引き続き国の地方財政対策に大きく依存する状況が続くものと思われます。
次に、本市の財政状況を申し上げますと、合併以来、財政の健全化を維持していくため、行財政改革大綱に基づく「行財政改革実施計画」の着実な推進、さらに、毎年の予算編成にあたり、経常経費を一定額削減する取り組みや有利な地方債の活用、安定した市税収入の確保などに努めてまいりました。その結果、財政の健全化判断比率は、国が示す基準以下となっており、現段階では、健全性は保たれている状況でございます。
しかしながら、今後の財政見通しでは、歳入につきましては、我が国を取り巻く社会経済の不透明な状況が依然として続いており、エネルギーや原材料などの価格高騰や円安の影響等による物価高騰が長期化する恐れもあり、経済に与える影響が懸念される中でこれまでのように安定した自主財源の確保が厳しい状況が見込まれます。
一方、歳出は、本格的な少子高齢化社会の到来により、医療や介護などに要する経費、いわゆる社会保障関係経費のさらなる増加が見込まれております。また、建物、道路、橋りょうなど公共施設の長寿命化対策に係る経費やエネルギー価格の高騰による光熱費なども年々増加しております。さらに、本市では、東海環状自動車道の整備に関連した周辺道路の整備や新庁舎の整備などに合併特例債を活用してきたことから公債費は増加傾向にあり、後年度の償還額について交付税措置があるものの、厳しい財政運営が見込まれます。
このため、将来にわたって財政の健全性を保ちつつ、持続可能な自治体、元気で笑顔あふれるまちを実現していくためには、これまで実施してきた改革の手を緩めることなく、たとえ、継続事業であっても前例踏襲にとらわれず、ゼロベースから見直しを断行することで、限られた財源を効果の高い事業へ注力する「選択」と「集中」により、新たな「施策の推進」と「財政の健全性」の両立を図ってまいりたいと考えております。
こうした本市の財政状況を踏まえながら、編成いたしました令和6年度一般会計当初予算につきまして、まず、歳入でございますが、自主財源の柱である市税収入は、個人所得の回復や景気の上向き予測による企業収益の増加が見込まれるものの、定額減税が実施されるため大幅な減額を見込んでおります。固定資産税も家屋の3年ごとの評価替えによる評価減や企業立地した工場の減価残存率減少による償却資産の減もあり減額となっております。市税全体では、対前年度当初比、約1億4千万円減の52億3千万円余を見込んでおります。
地方交付税につきましては、主に財源不足額に対する臨時財政対策債の発行可能額減による交付増により、対前年度当初比、1億5千万円増の47億7千万円を見込んでおります。
地方譲与税、地方消費税交付金など国からの交付金は、定額減税による減収分を地方特例交付金にて全額、国費により補填されることから、対前年度当初比、約1億4千万円増の14億2千万円余を見込んでおります。
国庫支出金につきましては、新型コロナウイルスワクチンの全額公費による接種が令和5年度で終了したことや主要幹線道路の整備が一部完成したことに伴い、国庫補助金が約4千6百万円減少し、全体で15億1千万円余を見込んでおります。
寄付金につきましては、ふるさともとす応援寄付金で返礼品の新規開拓やポータルサイトのブラッシュアップをさせることで、対前年度当初比、約2億5千万円増の10億円余を見込んでおります。
繰入金につきましては、主に公共施設等整備基金からの繰入金減少により、対前年度当初比、約2億1千万円減の15億9千万円余を見込んでおります。
また、市債につきましては、合併特例債が令和5年度をもって発行期限が満了したことや「弾正幼児園」の完成に伴い学校教育施設等整備事業債などが減少したことから、対前年度当初比、約32億5千万円減の15億5千万円余を見込んでおります。
歳出におきましては、東海環状自動車道「(仮称)糸貫IC」の開通を間近に控え、着々と進めてまいりました周辺アクセス道路の整備や「もとまるパーク」の整備などの投資事業をはじめ、新年度も「元気で笑顔あふれる本巣市づくり」を目指し、引き続き「教育・子育て支援」「移住・定住対策」「景気・雇用対策」「防災対策」などの事業にもきめ細かく関連経費を盛り込んでおります。
また、本巣市は令和6年2月1日に市制施行20周年を迎えました。これまで、コロナ禍でさまざまなイベントなどが制限されてきましたが、新型コロナウイルス感染症が「5類」となって以降、市のイベントなどを徐々に再開し、市民の皆様の笑顔や活気があふれてまいりました。新年度予算では、20周年という節目を「オール本巣」で祝い、未来への確かな一歩にするため、20周年記念イベントをメインにさまざまなイベントを実施してまいります。市民や団体、企業など本巣市に関わる全ての方と一緒に、これまで以上の賑わいを取り戻し、市民の笑顔があふれるまちづくりに取り組んでまいります。
さらに、新年度予算では、今年度も全ての事業の点検・見直しを行い、ソフト事業を中心に新たな事業や拡充強化のための予算を計上し、よりきめ細やかな予算編成に努めたところでもあります。
こうした歳入歳出の見込みにより編成いたしました新年度の一般会計当初予算の総額は、対前年度当初比で12.6%減、約28億円減の197億2千万円となっております。
当初予算が大幅な減額となった主な要因は、「庁舎整備事業」が約30億6千万円、「弾正幼児園整備事業」が約7億6千万円の減額となったことが大きく影響しておりますが、「消防署整備事業」に約7億7千万円、「もとまるパーク整備事業」に約3億円など継続中の主要な事業もあることから、予算総額は、過去3番目に大きい予算規模となっております。
特別会計につきましては、「国民健康保険特別会計(事業勘定)」では、国民健康保険の被保険者数の減少に伴う療養給付費の減額による減、「国民健康保険特別会計(施設勘定)」では、医業用機械器具の購入費の減額などにより減となっております。
「後期高齢者医療特別会計」では、後期高齢者医療広域連合納付金の増額などにより増となり、「企業用地造成事業特別会計」では温井地区企業用地造成事業の完了による減となっております。
なお、「農業集落排水事業特別会計」は、将来にわたり住民生活に必要なサービスを安定的に提供していくための経営基盤強化として、国の助言のもと、令和6年度から公営企業会計へ移行し、公共下水道事業と農業集落排水事業を合わせた「下水道事業会計」としております。
そのため、新年度の特別会計予算の総額は、対前年度当初比で15.8%減、8億5千4百万円減の45億6千6百万円でございます。
水道事業会計につきましては、主に開発に伴う配水管の拡張や根尾地域へのスマートメーター導入に伴う機器購入などにより、予算の総額は、対前年度当初比で4.1%、約6千5百万円増の16億5千万円余となっております。
また、下水道事業会計につきましては、先程の「農業集落排水事業特別会計」の移行に伴い大幅な増額となっており、予算の総額は、対前年度当初比で159%増、約10億6千万円増の17億4千万円余となっております。
活力ある元気な本巣市を築くためには、産業の創出や雇用の場の確保が欠かせません。現在、市内では開通を 間近に控えた「東海環状自動車道(仮称)糸貫IC」やPAの整備が着々と進められていますが、これらの立地条件を活かし、市内への企業誘致と雇用創出を推進してまいります。新年度におきましても、引き続き、浅木地区でのオーダーメイド型の企業用地造成事業を進めるとともに、新たな企業の誘致に取り組んでまいります。
景気・雇用対策につきましては、主要な幹線道路の整備、地域内の生活道路や防災・交通安全対策などの普通建設事業費に所要の予算を配分し、景気対策に努めるとともに、市内の事業者への優先発注などを通じ、地域経済へ寄与できる予算を確保してまいります。
また、引き続き工業団地へ誘致した企業に対し、本巣市民の雇用を働きかけ、市民を常用従業員として雇用した場合には「雇用奨励金」を交付することで、市民の雇用の場を確保してまいります。
さらに、商工会と連携し、長引く新型コロナウイルス感染症の影響や物価が高騰している中でも頑張っている市内事業者の事業活動継続と活性化を目的に「事業者サポート補助金交付事業」などを通じ、市内事業者への支援を、引き続き行ってまいります。
加えて、地域公共交通事業者であります樽見鉄道に対しても、「もとまる商品券」と「企画列車」等をセットにした事業に補助することで、誘客拡大による鉄道事業の経営安定化と地域における消費喚起を促し、継続的な市内消費の増大による地域活性化を図ってまいります。
農業対策につきましては、地域農業の中心となる担い手の育成と産業振興を目的に「元気な農業産地構造改革支援事業」を進め、生産技術の向上や産地基盤の強化を図ってまいります。また、新規就農者に対してもきめ細やかな支援を進め、地域農業への定着を図るとともに、引き続き、農地の集積・集約化を推進することで、農業経営の効率化と安定化につなげてまいります。
林業振興につきましては、森林所有者等の経営意欲の低下や所有者不明の森林の増加等の課題がある中、引き続き森林経営管理制度を活用した林業経営の効率化と森林管理の適正化を促進するとともに、労働安全の確保や技術資格の取得に対し助成を行い、森林技術者等の育成を図ります。さらに、新規林業就業者への生活資金の交付により、担い手支援を行ってまいります。
移住・定住対策につきましては、子育て世代を含め多くの方に、市内へ移住や定住をしていただくための「もとす暮らし応援補助金」や空き家の利活用を促進するため「空き家改修補助金」などの支援を行い、定住人口の増加を目指すとともに、三大都市圏にある県の移住相談窓口など関係機関と連携を強化することで、施策効果を高めてまいります。
全国的に少子化が進む中、少子化対策、子育て支援対策は喫緊の課題です。安心して地域で子どもを産み育てることのできる子育て環境を実現するためには、結婚・妊娠・出産・子育ての各ステージを切れ目なく支援していくことや、経済的負担を軽減することが必要です。
その一つとして、新年度は新たな取組として「本巣市奨学金返還支援制度」を創設します。働きながら奨学金を返済している若者の経済的負担や将来への不安を軽減させ、結婚や出産への意識の高まりや、市内定住、市内での労働力確保につなげてまいります。
また、同様な理由で結婚に踏み出せない人たちを対象に、結婚に伴う住居費や引越費用を助成し、新婚生活の不安解消に向け引き続き支援を行います。
さらに、出産・子育てに係る経済的支援を行うため、第二子以降の子ども1人に出産祝い金を10万円給付します。また、市の独自支援として第一子の子どもにも出産祝い金10万円を、第四子以降では10万円を追加して給付します。
また、安心して子どもを産み育てるために、妊娠期から出産・子育て期まで一貫して、保健師等が妊婦や子育て家庭に寄り添い、身近に相談に応じることで、その後の必要な支援につないでいく「伴走型相談支援」の充実も図ってまいります。その一つとして、保険診療外である1か月児健康診査に係る費用を助成することで、受診がしやすくなり、身体の異常の早期発見や虐待の予防・早期発見に加え、健診結果の情報を活用した早期の支援が可能となります。
さらに、新生児訪問事業として、助産師・保健師などの専門職が各家庭を訪問し、赤ちゃんの発育や栄養、生活環境などさまざまな不安や悩みの相談に応じながら、子育てをサポートするほか、産後うつ等、産前産後の体調や育児に不安や心配のある母親が安心して子育てができるよう産後ケア事業も引き続き進めることで、産前の妊娠期から子育て期にわたるまで、より切れ目のない支援を進めてまいります。
子育て支援につきましては、共働き世帯の増加や核家族化などにより、留守家庭教室の利用ニーズや開設時間延長の希望が多いことから、子育て世帯のニーズに合わせ、支援体制の充実を図ってまいります。また、子育てには親の手があると助かります。引き続き「三世代同居・近居住宅支援補助金」を交付することで、子育てを家族で支え合える環境づくりにも努めてまいります。
さらに、国が示す「次元の異なる少子化対策」の一つに、「(仮称)こども誰でも通園制度」があります。この制度は、親の就労状況に関わらず子どもを保育所などに預けることができる新たな制度です。こうした多様化する保育ニーズへ対応していくためには、市のみならず民間活力の活用が必要であり、市内の子育て環境を充実させるためにも官と民が連携した子育て支援にも積極的に取り組んでまいります。
また、令和5年度より18歳までに拡充した医療費無償化などにも引き続き取り組み、子育て世帯の負担軽減を図ります。
本巣市では子育て支援の一つとして、学校給食にも力を入れています。幼児期からの食育を通じ、健康な身体の基盤づくりや食べる喜びなどを養っています。これらが出来るのも、他の学校に負けない「とても美味しい給食」を栄養士や給食アドバイザーが、手作り感やバラエティの豊富さなどにこだわり、献立を工夫して提供しているからです。現在、物価高騰の影響がありますが、品質を落とさないよう、しっかりと支援していくとともに、本巣市産や県内産の食材を使用した「ふるさと食材の日」をこれからも継続し、学校給食の充実と市内農産物生産者の育成につながる事業として推進してまいります。
健康対策につきましては、乳幼児期から高齢期までライフステージに応じた市民の健康保持増進と生活習慣病の発症予防、重症化予防を目的に、引き続き成人保健事業、母子保健事業、予防接種事業を行ってまいります。
高齢者対策につきましては、複雑化・複合化する生活課題に寄り添い、すべてを受け止める包括的な支援体制を構築するため、新たに「福祉総合相談室」を新庁舎開庁に合わせ設置し、身近な相談や分野をまたぐものまで、適切な支援につなげてまいります。
また、「健康寿命」を伸ばす取り組みとして、いきいき健康教室をはじめ、各種教室や軽スポーツ、ウオーキングなど健康づくりができる取り組みも進め、「健康ポイント事業」とあわせることで、市民一人ひとりが楽しみながら主体的に参加できるよう工夫してまいります。
さらに、就業を通して生きがいや社会参加を目指す高齢者も増えてきていることから、シルバー人材センターと協力しながら、高齢者の知識や経験を生かした社会参加への機会提供にも努めてまいります。
障がい者対策につきましては、タクシー利用助成などの地域生活支援事業を引き続き行うとともに、障がいのある人もない人も安心して暮らすことができる社会を目指し、手話は言語であることを明確にするとともに、手話の普及啓発や施策推進に努めることを目的とした「手話言語条例」の制定に向けて準備を進めてまいります。
防災対策につきましては、地震を含む自然災害はいつ、どこで発生するかわかりません。日頃から災害に備えることで、被害を少なくすることにつながります。そこで、万一の事態に有効な対処ができるように、洪水ハザードマップを更新し、市民の迅速かつ円滑な避難につなげます。また、毎年、夏に実施しておりました防災訓練を冬季にも実施することで、季節を問わず発生する災害に備えます。さらに、防災行政無線の音声情報を文字情報として受信できる「防災アプリ」を作成し、災害時などにリアルタイムの情報伝達を可能とします。
また、災害発生時には、「自分の命は自分で守る」という「自助」と自治会といった地域コミュニティで助け合う「共助」が大切となります。各自治会においても災害に備えることが出来るよう、引き続き自治会の「地区防災計画」策定に向けた支援を行います。加えて、自助・共助の場面での活躍が期待されるのが、防災士です。市が養成機関として防災士資格取得試験を行うことで、より多くの防災士を養成し、災害時に活躍できる人材の育成も図ってまいります。
その他にも、地域の消防力を強化するため、消防団に配備しております「小型動力ポンプ」および積載車を更新するとともに、避難所の暑さ対策など避難生活の環境整備のため、指定避難所となっている2つの小学校の屋内運動場に空調設備を設置し、残りの2校の設計も進めてまいります。
防犯対策につきましては、登下校時の見守り隊などの取組に加え、防犯灯の設置や自治会が設置する防犯カメラに対する補助などを行い、警察や学校、関係機関との連携を密に、犯罪のない安全で安心なまちづくりを推進してまいります。
交通安全対策につきましては、学校、PTAや自治会などからの要望を踏まえ、新年度も引き続き通学路となっている市道等の拡幅や、歩道または歩行帯を設けるなどの交通安全対策を実施してまいります。
都市公園「もとまるパーク」につきましては、昨年の7月に施設の一部を開園して以降、市民の憩いの場として多くの家族連れの方々に楽しんでいただいております。しかし、休日には周辺で交通渋滞も発生するなど課題もあることから駐車場の拡張を進め、渋滞の緩和、利用者のさらなる増加を図ってまいります。また、東海環状自動車道の「(仮称)本巣PA」の供用開始に向け、引き続き整備を進め、PAとの連結により「高速道路利用者」と「地域」をつなぐ拠点施設として、管理運営を行う民間事業者のノウハウを生かしながら、交流人口の増加や農産物・物産品の販売による農商業の活性化など、新たな賑わいを創出させてまいります。一方で、もとまるパークは、大規模災害時の支援拠点として重要な役割を果たします。いつ起こるかわからない災害を想定し、災害支援拠点施設として取り組むべき事項などを常に確認し、平時から備えてまいります。
道路整備につきましては、東海環状自動車道へのアクセス道路や、企業立地に伴い必要となる幹線道路の整備などを、景気対策にも資することから、引き続き整備してまいります。特に、開通を間近に控えた東海環状自動車道「(仮称)糸貫IC」周辺や「(仮称)本巣PA」周辺の道路整備は、県など関係機関と協力し、スピードを落とすことなく着実に進めてまいります。また、集落間を繋ぐ道路や通学路など市民生活に密着した道路では、歩行者・自転車空間を確保し、快適であるとともに安全・安心な道路整備を進めてまいります。
公共交通につきましては、「市営バス」4路線について、公共施設への利用を容易にするため新庁舎へ延伸をさせ、より利便性の高い市営バスの運行を図ってまいります。
また、現在4市町で運営支援をしている岐阜バスの大野穂積線につきましても、引き続きモレラ岐阜から北方、JR穂積駅へ快速便を運行させるほか、樽見鉄道につきましても、経営安定化に向けて支援を行い、通勤や通学、観光客などの交通手段として確保してまいります。
環境対策につきましては、脱炭素移行・再エネ推進交付金を活用して太陽光発電設備および蓄電池の設置に対し補助金を交付し、普及促進を支援してまいります。
新庁舎の整備につきましては、今年度中に庁舎建設工事や外構工事の一部が完成します。新年度は、ネットワーク等通信環境整備や議場等の音響整備、備品等の調達を行い、7月の新庁舎開庁に向けて、着実に作業を進め、行政機能のワンストップ化と災害時の迅速な対応を可能にすることで、市民の安全・安心の確保と行政サービスの向上を図ってまいります。
学校の教育環境の整備につきましては、児童生徒の興味・関心を高め、専門性に富んだ質の高い授業を行うため、引き続き「教科専門指導員」を配置し、確かな学力の向上を着実に図ってまいります。
また、校内のネットワーク環境を強靱化させることで、「本巣市版GIGAスクール」によるICT教育のさらなる充実を図ってまいります。
さらに、近年の不登校児童生徒の増加、いじめや虐待、ヤングケアラーなどの問題を背景に抱える児童生徒の多様なニーズに応えるため、教育センター所長や子ども支援対策監を中心に、相談・支援体制の強化を図るとともに、適応指導教室の「たんぽぽ・本巣の学び舎」を有効に活用しながらさまざまな形で支援を行ってまいります。
本巣市では、学校や地域などさまざまな場面で活躍できる「未来のリーダー」の育成にも力を入れています。その一つが「本巣市ジュニア防災リーダー」です。令和3年度から中学生を対象としたジュニア防災リーダー養成講座を岐阜大学の協力のもとスタートさせました。これまでに、延べ91人のジュニア防災リーダーが誕生し、中には防災士資格を取得した生徒(※32人)も見えます。新年度も、引き続き、養成講座を実施し、防災意識や行動力の高い生徒を育成してまいります。また、新たな取組として、中学校卒業後も継続的に活躍してもらうために、3月9日に「本巣市ホープ防災リーダーズ」が発足します。これは、市の防災の中核を担う人材育成の仕組みとして構築するもので、活動の一つとして、新年度から養成講座で学んだ青少年が被災地の東北での研修を通じて、地域の防災力を高める意識の醸成を図ってまいります。
また、もう一つが「青少年国内派遣事業」です。青少年が日本で唯一地上戦となった地、沖縄を訪問し、その歴史を学び、さらに、地域づくりに取り組む現地の人との交流・体験を通して、郷土愛にあふれた人や地域の強みを生かしたまちづくりに触れることで、考える力、課題を追求する力を養い、ふるさとの良さや強みを自分たちで考え、行動することができる未来のリーダーを育成してまいります。
生涯スポーツの推進としましては、多くの市民が気軽に参加できる「ウオーキング・ランニングのまちづくり」を引き続き推進し、健康な体づくりへのきっかけや運動習慣の意識づけにつなげ、市民の健康の保持・増進を図ってまいります。
歴史、文化の保存につきましては、市制施行20周年を節目に「市史編さん」に取り組んでおります。これまでの市の発展の過程を振り返り、市史として貴重な資料を記録に残し、市民の財産として後世に伝えていくことは、市の大きな責務であり、市史を通して、市の歴史の再確認や郷土愛の醸成につなげてまいります。
また、10月には国内最大の文化の祭典が岐阜県で開催されます。本市においても実行委員会を立ち上げ、「清流の国ぎふ文化祭2024」を岐阜県と一緒になって盛り上げてまいります。真桑人形浄瑠璃や能郷の能狂言、雅楽など本巣市の歴史、伝統、文化などの魅力を広く発信してまいります。
最後に、7月16日に新庁舎を開庁する予定で進めています。新庁舎では、これまで課題のあった災害発生時の機能強化はもちろんのこと、市民の方がわかりやすく、安心して利用できる庁舎として、組織の見直しも含め、窓口機能を1階に集約し、ワンストップサービスの充実・強化をしております。また、同時に手続等のデジタル化も進め、「書かない窓口」の導入や、行政手続のオンライン化、アプリを活用した情報発信など、市民の皆様にとって、より利便性の高い行政サービスを提供してまいります。
以上、市政運営に対する、私の所信の一端と令和6年度予算案などの概要につきまして、申し上げさせていただきました。今年の2月に本巣市も市政施行20周年を迎えました。新年度は、東海環状自動車道の開通や新庁舎も開庁し、本巣市の新たな未来に向けたスタートの年になると考えております。市民の皆様が、5年後、10年後も「住んで良かった」「住み続けたい」と思ってもらえる、持続可能なまちとして発展し続けられるよう、厳しい財政状況での市政運営ではございますが、市民の皆様や企業の皆様とも協力しながら、全力で取り組んでまいります。
結びに、議員の皆様をはじめ、市民の皆様の一層のご理解とご支援を心からお願い申し上げ、所信表明といたします。